いつむーななやー

日頃考えていることを書き残します。

JASRACの音楽教室問題について法律以外の側面を考える

JASRAC音楽教室から使用料を徴収する件について、法律以外の側面から考えてみました。

自分の子供を音楽教室に通わせているので、やっぱり価格に添加されたら嫌だなーと言う気持ちもあり、考察をしてみます。

 

なぜ、今なのか

何年も何十年も見過ごしてきたのに、なぜ今なのか?

と言うのがポイントになるのかな、と考えています。

 

一説には、CDの売上等の物からの著作権収入は減少の一途を辿っているそうです。

ですので、体験型のサービスからの聴衆に力を入れている、と言う流れになるようです。

 

その流れで、カラオケ、ライブハウスときて

その次が、音楽教室ということなのでしょうか。

 

ここで気になることは、

今まで音楽教室から演奏権?でしたっけの著作権料を取らない

としていたわけです。それがたとえ明示的でなくてもです。

この方針変更について合理的な説明がなされなくても構わないのか?

ということがあります。

 

営利企業であれば、本来取れることができるお金を取らないできたわけですから、当然そこに責任が生じるわけです。例えば、株主から損害賠償されるとか。

しかし、この点については、一般社団法人という形態の非営利法人ですので外部の人間がとやかく言うことができる形態では無いようです。営利企業でも無いですし。。。

 

次のポイントは、

著作権の権利者の利益を守るためにこれが最前の方法なのか?

と言うことです。

JASRACの業務は、著作権者の代わりに著作権料を徴収したりすることによって権利者の利益を守ることです。

つまり、JASRACの活動は法律的に著作権料が徴収可能か?とは別に著作権者の権利を今後も守り続けていく上で最善の活動であるのかどうか?と言う軸でも考える必要があると思います。

 

目的が達成できるのか

著作権使用料の徴収額が減っているのかと思って調べてみたら、ここ数年全然減っていませんでした。

使用料徴収額の推移 JASRAC

 

しかし、CD、DVD、TVゲーム等のパッケージものからの使用料は年々着実に減ってきているようです。

また、何故か放送等が近年着実に伸びているようですが、若者を中心としたテレビ離れ的なものを考えるとそこに関しての今後の見通しは暗いかもしれません。

 

さて、著作権料を分配するシステムですが、ある程度の収入があるからこそ、それを分配するシステムが成り立っている、と考えられます。

それは、管理対象となる著作は山ほどあるので一定の事務コストが必ず必要になります。

それに利用状況や無断使用の調査にもバカにならないコストがかかっていると推測されます。

従いまして、ある一定ラインの使用料がコンスタントに発生することが、JASRACにとっては大事、と言えると思います。

 

では、安定した使用料を得るためには何が必要かを考えてみます。

 

結論から言うと、私の考えでは、

著作権の対象となる作品の作り手を増やすこと

だと思います。

 

将来的に何が起こるのか?何が流行るのか?は誰にもわかりません。予測不能です。

この場合、作品の作り手が多ければ多いほど、その作品の中からヒット商品が生まれる可能性が増えてくる、と考えられます。

と言うのも、人間は一人ひとり個性が異なっています。多様な作風の著作物を安定的に供給できる環境があれば、世の中がどういう方向に進んだとしても、それにマッチした作品が提供できる可能性が高まる、と考えられます。

 

ここで、音楽教室の登場です。

JASRACが管理対象しているような著作物〔音楽作品〕の作り手の一部は音楽教室と関係を持っていることが少なくない、と推測します。

その作り手本人が長らく、または短期的に直接音楽教室に通った経歴を持っている、というのが一番わかり易い場合です。

この他にも、そう言った経歴を持つ作り手の影響を受けてその道を志す、場合もあるでしょう。

そう言った経歴を持つ親から手ほどきを受けた、というパターンも考えられます。

 

音楽というのは日常生活の中では必須ではないので、自然と身につくことはあり得ません。

 

つまり、単に子供の時に少し通って興味を持つようになったとか、そう言った軽微なレベルのことでもとても大きく作用します。そして後に楽器を始めたりする契機になります。楽譜が読めたり、音感があることは趣味で始めた楽器をすぐに辞めずに継続していくことの大きなアドバンテージになります。こうした人たちの中から将来の著作物の作り手が生まれていくことは想像に難くありません。

 

音楽教室から使用料を取ることで、音楽教室が授業料に添加するとします。すると授業料が上がります。

授業料が上がると生徒は減ります。

サービスの質が同じで価格が上がれば、必ず売上は落ちます。

これは間違いありません。

それが、5%なのか1%なのか0.1%なのかそれ以下なのか?それはわかりません。

しかし、確実に減ります。

 

そして、それは将来的に著作物を作る作り手の減少を意味します。これは、生徒の減少数のさらに1%とか0.01%とかそれ以下とか言ったレベル感になるでしょう。まぁ、無視して良いレベルなのかもしれません。

しかし、こちらも確実に減ります。

 

つまり、JASRAC音楽教室から著作権の利用料を徴収する、と言う行為は無視できるレベルなのかもしれませんが、必ずJASRACの将来の収入にマイナスの影響がある、ということは間違いがないです。

 

まとめ

  • 今まで見過ごしていたものをなぜ今頃徴収するのか?
  • 音楽教室から著作権使用料を徴収することは、JASRACの将来の収入に対してマイナスの影響がある

と言う意見としてまとめてみました。

私自身は、自分の子供を音楽教室に通わせおり、多少授業料が上がっても通わせ続ける気でおります。

また、記事の趣旨は著作権の利用料を不法または不当に払わないことを支持するものではなく、JASRACが企業体としてその目的を達成するために理にかなった行動であるのかどうか、を考察したものであります。