いつむーななやー

日頃考えていることを書き残します。

語彙制限本(Graded Readers)の使い方

多読を推奨している私ですが、語彙制限本に関してあまり正しい知識を持っていなかったようです。調べてみてわかったことと、効率的な使い方について書いてみます。

 語彙制限本とは

語彙制限本とは文字どおり語彙が制限された本です。こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、主に英国の会社が英語学習者向けに出版しているようです。

語彙が制限されている

語彙が制限されているわけですが、学習者のレベルに合わせて適切なものを使うことができるように、大体のものが6レベルに分かれています。大方の分け方は以下のような感じになります。(会社によってまちまちなので詳しくは調べてみてください。)

  • Level1:英検4級程度:見出し語300語
  • Level2:英検3級程度:見出し語600語
  • Level3:英検準2級程度:見出し語1,200語
  • Level4:英検2級程度:見出し語1,700語
  • Level5:英検2〜準1級程度:見出し語2,300語
  • Level6:英検準1級程度:見出し語3,000語

見出し語の意味がよくわかりませんが、おそらく95%とか97%とかがこの語数で構成されているということだと理解しています。大学受験を真面目にやった人は語彙が5000とかあるはずなので、語彙的には楽勝ということなんでしょうか?とはいえ、普通の小説や新聞は語彙が8000〜9000ないと厳しいとされているので、そういった意味では安心と言えます。

文法も制限されている

さて、これを私はしっかりと把握できていなかったため、いまひとつ使いどころがわかりませんでした。というもの文法もレベルによって制限されているということです。上にあげたようにLevel2は中学の全範囲、Level3はセンターレベル、Level4からLevel5で高校の全範囲という感じで徐々に難易度が上がっていきます。そして、この文法要素が読みやすさに大きな影響を与えてきます。いくら語彙があっても文法にあちこち穴がある状態では、Level4以上を読むのは非常に困難となります。

語彙制限本の有効活用法

ある程度のレベルまでは多読はダメ?

色々な英語学習サイトを見てみると、文法をしっかり完成(高校全範囲)させてから出ないと多読は危険とかいった意見も散見されます。また、TOEICの学習をしている方に多い気がするのですが多読は学習効率が良くない、という意見が多いです。

 

これは個人的な意見ですが、私はどちらの説にも否定的です。というのも私自身が多読で一気に実力が伸びたという意識があるからです。当然、全く文法など完成していません。難しい構文など全然解釈が間違っていると思います。

 

また、TOEICに関しても私が大いに参考にさせていただいている「英語の高地トレーニング」さんでは以下のような記事があります。

TOEIC対策

この記事は、数年かけて多読を中心としてReadingを磨けというようなことが書いてあります。どうしても今すぐ目標の点数が取りたい(もう少しで取れそう)という方以外は多読を中心にした方が良いのでは?と思います。

語彙制限本の効率的な使い方

さて、効率的な使い方です。

自分の今のレベルよりも1Levelしたの本を読む

これだけです。

つまり、英検3級ならLevel1、英検準2級ならLevel2といった具合です。これは自分が今まで勉強してきたものの良い復習になります。また、知っているから、使えるへの変換作業となります。

Levelをあげるタイミング

Levelをあげるタイミングですが、これは何冊か読んでも100wpmを安定して超えていたら、が良さそうです。が、読むのが苦痛になっていなければそんなに気にする必要はないそうです。

wpmの大事さは前々からわかっていたつもりですが、私自身全然わかっていませんでした。wpmは文字どおり1分間に読むことができる単語数なのですが、私の場合、これが60を超えたあたりからガラッと感覚が変わりました。そして、80を超えるとさらに感覚が大きく変わります。この数字は人によって多少違いがあると思います。そして超えたことがないので良くわからないですが、100、150、200と色々と変わってくるものと思います。

とにかく、私のわかってる狭い範囲で説明します。

60wpmを超える前

大げさにいうと、単語を見ながら日本語に逐一翻訳している状態です。関係代名詞とか不定詞とかの処理も相当適当で、別々の文章として理解している感覚です。

60wpmを超えた後

簡単な構文については、前から処理していけるようになりました。が、それを日本語に訳している感じです。

He gose to school を 彼は、いく、学校へ

みたいな感じですね。極端な例ですが。

関係代名詞や不定詞もある程度ちゃんと処理できるようになってきました。

80wpmを超えた時

これは、久しぶりに語彙制限本のLevel2を読んだらこうなりました。読んでいる最中に滅多に構文を意識する気持ちも日本語も出てきません。英語が英語のままで理解できる状態です。さすがに文章の97%が基本の600語で構成されていれば単語として知らないものは数ページに一回出てくるかどうかでした。そしてこれらは今までの勉強や多読で何十、何百と出会ってきた単語です。構文的にも英検3級レベルなので無意識に理解できるものがほとんどでした。

 

おそらくもっとwpmが上がっていけば、もっと色々な変化を感じるだろうと思います。

 

語彙制限本の効果 

単純に多読をした時の効果が出るのですが、それ以外にも使い方がよければもっと良い効果がありそうです。

基本語彙を完璧にマスターできる

語彙制限本では、基本語彙が完璧にマスターできます。というのも、使うことができる単語に制限があるため、基本語彙をあらゆる角度から使い倒して文章が書かれています。have,make,get,giveその他の基本動詞や基本的な名詞にも多義のものが多いです。難しい別の動詞や名詞を使わずに基本語彙で表現されていて、それが何回も出てくるため、こういった重要な単語をしっかりとマスターすることができます。

文法事項を段階的にマスターできる

文法についても段階的に解禁されていくため、しっかりと基本的な文法事項をマスターした後に次の段階に進むことができます。私がそうだっただけかもしれませんが、この文法が段階的に解禁されることについてあまり重要視していない方が多いのかな?と思います。

 

 文法に制限が多ければ多いほど、文章は短くなり、構造がシンプルになります。そして至極当たり前ですが、シンプルなものが理解できないと複雑なものは理解できません。しかし、厄介なことに、理解と言っても1か0かの二択ではないのです。つまり、シンプルなものがなんとなく理解できている、または時間をかければ理解できる状態であると、これまた時間をかければ複雑なものもまた理解できてしまったりします。

 

これが私がハマった罠です。なんとなく理解できる、でどんどん難しいものに進んでいく。すると1つの文を読むための時間と労力がどんどん増えていく、そして英語を読むのが嫌になる。これが以前に英語の勉強をやめてしまった原因でした。早く難しいもの(普通のペーパーバックとか)を読みたいのでどうしても気持ちがどんどん焦ってしまいます。でも、グッと我慢。急がば回れです。(自分に言い聞かせています。)

 

英語の複雑な構文は、結局はシンプルな構文の組み合わせであったりすることが多いです。つまりシンプルな構文を一瞬で特に意識せずに理解できる状態まで持って行っておけば、複雑な構文に出会っても嫌になりづらい、ということです。

 

では語彙制限本はいいことづくめか?

では語彙制限本はいいことづくめなのか?というと早々いいことだらけではありません。以下が語彙制限本の弱点です。

  • お金がかかる
  • つまらない場合が多い
  • 選ぶのがめんど臭い
  • 語彙はそんなに増えない?

お金がかかる

これは語彙制限本に関わらず多読をする場合の共通の悩みです。1冊700円〜1000円程度するので、100冊必要とすると10万円程度かかります。これに関してはどうしようもありません。図書館を使う、仲間と分担するぐらいしかないですね。図書館にもっと置いて欲しいです。

つまらない場合が多い

これは個人的な感想ですが、児童書の方が面白いです。色々な縛りの中で書いてくださっているので、しょうがないとも言えます。総単語数も制限されているので、話が急展開して唐突に終わる、というのが一番の問題ですかね…。

選ぶのがめんど臭い

これも上と似たような話です。当たり外れば大きいので、評判を見たりして1冊ずつ選ぶ必要があります。また、同じ話でも、別の会社、別のレベルで出ていたりするのがまためんど臭いです。その点、児童書はシリーズものが多いので、一度これと決めたら10冊程度は次々買っていけばよいので楽チンです。

語彙はそんなに増えない?

語彙は増えないかもしれません。すみません、わかりません。ただLevel6でも見出し語が3000とかなので、例えば英検準1級の語彙7000〜8000というところまで語彙制限本で持っていくのは辛いかもしれません。が、Level6を複数冊読んだわけではないのでわかりません。この辺も英語圏の子供が普通に使う語彙は出てくる児童書の方が良いかもしれません。

 

と色々書きましたが、お金がかかること以外は、児童書も合わせて読んでいけば解決できそうですね。児童書に関しては、語彙制限本よりもさらに1段階下のものを読んでいくと良いと思います。語彙も表現も難しいので。

  まとめ

 まとめます。

  • 語彙制限本は語彙制限が段階的に行われている
  • 語彙だけでなく、文法も制限されている
  • 今の自分のレベルのワンランク下のものを読みこむ(復習)
  • 弱点もあるが、児童書と合わせて読めば克服できるかも

以上となります。早く語彙制限のない本を読めるように精進していきます。